カラフル☆デイズ
―――――――……
―――――――…


どうしよう、まだ帰ってないよね?


あの先輩が帰っていないことを願いながら、足早に3年C組へと向かう。


5時間目が終わった後、借りた(すずり)と筆を洗っている内に休み時間が終わってしまい、すぐに返しに行けないまま、もう放課後で――。


また三年生のクラスに返しに行くことを考えれば、やっぱりあの時、セイ兄に借りれば良かった、って気持ちになってくる。


帰って行く先輩たちとすれ違う度、注がれる視線に居心地の悪さを感じ、そんな後悔に襲われた。


セイ兄のクラスに辿り着き、こっそりと中を覗くとセイ兄は見当たらなかったけれど、私に書道セットを貸してくれた先輩は教室の奥にいた。


こがわ先輩、だよね?


書道の時間、半紙の左端に書かれていた【古川 深月】という名前を頭の中に思い浮かべる。



< 59 / 420 >

この作品をシェア

pagetop