犬と車椅子と
犬と車椅子
犬の散歩は俺の役割となっている。
仕事が休みの火曜と金曜の昼飯を食った後に犬の散歩をする。
種類は・・・どうみたって雑種だな。まぁお座りと待てぐらいは出来るけど。
散歩は近所の人と会うと顔が知れているだけに恥ずかしいので近所の大学病院の敷地へと逃げ込む。俺の街で一番デカイ施設で静かな所だ。
最初は面倒くさいだけの犬の散歩だったが彼女と出逢った時から週二回の犬の散歩が俺達のデートになっていった。
まぁデートと思っているのは俺だけかも知れないけど。
彼女の事はなにも知らない。
名前も誕生日も好きな色も何も知らなかった。
たぶん高校生だろう。
いや高校には行ってないみたいだから高校生とは言えないか。
ただ一つ、彼女の事を知っているのはいつも車椅子に乗っている事だけだ。
彼女の容姿は、まぁ君たちの想像にまかせておくよ。
< 1 / 7 >

この作品をシェア

pagetop