昭和懐妊娶られ婚【元号旦那様シリーズ昭和編】
「知ってたか? 今泣きそうな顔してる。言ってみろ?」
 彼が私の顎を掴んで目を合わせる。
その澄んだ優しい瞳を見て、一瞬なんの話をしていたのか忘れた。
「凛?」
 名前を呼ばれて、慌てて答える。
「はい! 鷹政さんが青山国際通商からいなくなったから心にぽっかり穴が空いたみたいで寂しくって……。あの、その……ひとり言ですので忘れてください!」
 わー、本人を目の前にしてなに言ってるの!
 でも、あの瞳を見てしまうと嘘はつけない。
「そうか。寂しいか。俺も同じことを思った」
 あたふたする私を見て彼はとても温かい目で微笑む。
 彼の思わぬ発言に心がなんだかポカポカしてきた。
「本当ですか?」
 笑顔で聞き返したら、鷹政さんは澄まし顔で答える。
「ああ。本当だ。お前の弁当がない生活は味気ないものだった」
「うっ。お弁当がないから寂しかったんですか」
 てっきり私に会えなくて寂しいのかと思ったのに。ぬか喜びもいいところだ。
 がっくり肩を落とす私を見て鷹政さんはニヤリとする。
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