昭和懐妊娶られ婚【元号旦那様シリーズ昭和編】
「政治家との会合があって疲れた」
「聞いてるだけで疲れそうですね。私、肩お揉みします」
 なにかをしていた方が緊張せずに済む。
「ちょっと横を向いてください」
 彼に向きを変えてもらうよう頼む。
「こうか?」
 私の目を見て確認する彼に笑顔で頷く。
「はい」
彼の両肩に手を置いて揉み始めるが、あまりにカチカチで驚いた。
「肩、凄く凝ってますよ」
「気持ちいい。人に揉んでもらうのは初めてだ」
 彼が心地よさそうに目を閉じる。
 そんなリラックスした彼を見るのは私も初めて。
 しばらくマッサージしてたら、彼が私の手を掴んだ。
「交代しよう」
「え? 私はいいですよ。今日は仕事もしてないし」
 遠慮するが、鷹政さんは聞かない。
「うちに来たばかりだから気も張るだろう?」
「そんなこと……」
 否定する私に彼はクールな顔で言う。
「交代だ」
 この顔で言われると逆らえない。
 タオルで胸元を押さえて横を向くと、彼の手が私の両肩に触れてドキッとする。
 お風呂でこの状況、いいのだろうか。
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