昭和懐妊娶られ婚【元号旦那様シリーズ昭和編】

均整の取れた綺麗な身体。まるで彫刻のように美しい。
　身体を洗い終えた彼がこちらにやってきて初めて目が合った。
「凛？」
　鷹政さんが少し驚いた様子でまじまじと私を見た。
　彼に名前を呼ばれ、あたふたしながら返す。
「はい……凛です。や、弥生さんは私が入っているの知ってるはずなんですけど……」
「俺は弥生に風呂に入るよう急かされた。彼女にまんまと嵌められたな。俺は出るから、お前は入っていろ」
　鷹政さんが私を気遣って浴場を出ようとしたが、彼の腕を掴んで止めた。
「待ってください。いくら夏だからって、それでは風邪を引きます。ちゃんと湯船に浸かってあったまってください」
　心臓の鼓動は激しいが、構わず彼に声をかける。
　大丈夫。薄暗いから、私の裸は見えないはずだ。
「そうか。じゃあ、そうさせてもらう」
　鷹政さんは小さく微笑んで、湯船に入り、私の横に腰を下ろす。
「今日はお仕事どうでした？」
　仕事のことを尋ねると、彼は疲れた様子で自分の肩を叩いた。