昭和懐妊娶られ婚【元号旦那様シリーズ昭和編】
「凛、凛、しっかり!」
 反応がない。飛び込んだ時にショックで気絶した?
 浮き輪を彼女につけて救助を待つが、ほんの数分程度の時間が数十分にも感じた。
「鷹政さま?」
 伊織の声がして顔を上げると、彼が小型艇で助けに来た。
「凛を先に引き上げてくれ。彼女の意識がない」
 彼女の身体を押し上げると、伊織が引き上げて、船の上に寝かせる。
 俺もすぐに船に乗り、濡れた上着を脱いですぐに凛のそばに行った。
 凛の脈を取り、彼女に顔を近づけるがやはり息をしていない。すぐに心臓マッサージをして、人工呼吸をする。
 真夏といえど、夜の海は決して暖かくはない。
 服が濡れて体温が奪われて、身体も冷たくなっていた。
「凛、息をしろ」
 祈るような気持ちで心臓マッサージを続け、彼女の口に息を吐き込む。すると、彼女が水を吐いた。
「凛!」
 彼女の名を呼ぶが、目を開けない。
 息はしていてひとまずホッとするも、まだ危険な状態かもしれない。
「港に着いたら彼女を病院に運ぶ。乗客の救出活動と消火の方は?」
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