昭和懐妊娶られ婚【元号旦那様シリーズ昭和編】
「なに言ってるんですか! 私の命なんてどうでもいいんです」
 この考えはきっと父親に植え付けられたものだろう。
 彼女の口からその言葉を聞くと悲しくなる。
「よくない。凛はもっと自分を大事にしてほしい」
 少し厳しく言えば、彼女は反論した。
「できません。今までずっと家族のことを一番に考えてきたんです。それに、私は丈夫です。あんな高さから海に飛び込んだのに生きてます」
 どこか自慢げに主張する彼女に呆れ顔で言い返した。
「失神したけどね。だいたいどうしてあんな事態になった?」
「偶然橋本清十郎が部下らしき人と火事を起こすみたいなことを話しているのを聞いてしまって……あとをつけたら、彼の部下がマストの帆に火をつけて……だから、私が消そうと思ったんです」
 凛がその時の状況を思い出しながら話すが、聞いていて頭痛がした。
「無茶しすぎだ。今回の事件で俺の寿命がかなり縮んだ。医者ももう長くは生きられないだろうって」
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