昭和懐妊娶られ婚【元号旦那様シリーズ昭和編】
そのさり気ない優しさに胸がときめく。
 その後黙々と仕事をしていたら、タイプする紙が切れてしまった。
「最近なくなるの早いな。倉庫に取りに行こう」
 席を立って壁のフックにかけてある鍵を掴み、同じ階の突き当たりにある倉庫に行って、鍵を使って中に入った。
 倉庫には棚がいくつかあって、紙や古いタイプライター、インク、扇風機などが置かれていてごちゃごちゃしている。床にも段ボールが置かれていて、気をつけないと躓いて転びそうだ。
 おまけに窓が開いてないからとても蒸し暑くて、手で顔を仰ぎながらタイプライターの用紙を探した。
「えーと、確か奥の棚の段ボールに……」
 足元に注意して奥へ進み、段ボールの中を確認する。
 中にはさらに用紙サイズの大きさの段ボールが入っていた。
「あった! この小さい段ボール丸ごと持っていこう」
 みかん箱よりもやや小さめの段ボールを手に持ち仕事場に戻ろうとしたら、ガチャとドアが開く音がした。
 振り返れば佐々木さんがいて条件反射でつい身構える。
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