昭和懐妊娶られ婚【元号旦那様シリーズ昭和編】
「これは魔法の指輪だよ。なにか辛いことがあった時、これをギュッと握りしめればいい。元気が出るから」
「でも……これとっても高いものじゃあ?」
 返そうとしたが、彼は小さく頭を振った。
「もう僕はこの指輪にいっぱい元気をもらったからいいんだ。君はきっと強くなれる。僕が保証する」
 その言葉は神の啓示のように私の頭の中にスーッと入ってくる。
「さあ、もうお行き。君を探してる人が心配する」
 お兄さんは私に手を貸して立たせると、優しく微笑んだ。
「ありがとう、お兄さん。私、この指輪大事にします」
 指輪を握って約束する私を見て、彼は小さく頷いた。
 それは夢のような出来事で、指輪がなかったら現実のこととは思えなかっただろう。
 お兄さんが告げたように、この指輪は私がくじけそうになると元気をくれた。
 またお兄さんに会いたいと思って葉山に来るたびにその浜辺に行ったが会えず、そのまま月日が流れていつしか彼の顔も忘れてしまった。
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