昭和懐妊娶られ婚【元号旦那様シリーズ昭和編】
 十五年後――。
 大正から昭和に時代が変わり、今は昭和四年。
「見て、琴さん、今日はトマトがいっぱいなってるわ」
 庭で赤く色づいたトマトを見て頬を緩めると、近くにいた彼女も微笑んだ。
「朝食はトマトのサラダで決まりですね」
「やっぱり家庭菜園っていいわね。愛情込めて野菜を育てれば、美味しく食べられるんですもの。薔薇を育てるよりもずっと有意義だわ」
 私は二十三歳になり、背も琴さんと同じくらいで百六十センチある。
 大人にはなったけどお洒落には興味はなく、服も洋服ではなく長く着られて丈夫で洗濯もしやすいかすりの着物を着ている。長い髪も邪魔にならないようにまとめ髪にして、朝から野菜の収穫。そんなんだからこの年になっても恋をしたことがない。
 七月に入ってうだるような暑さが続いているが、うちの野菜が元気に育っているのを見ると嬉しくなる。
「凛お嬢さま、薔薇は目の保養になりますよ」
 苦笑いする彼女に顔を近づけて真剣に問う。

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