昭和懐妊娶られ婚【元号旦那様シリーズ昭和編】
「それじゃあ琴さんは、お腹が空いてたらトマトと薔薇、どっちを取るの?」
「それはトマトですけど……」
 彼女の答えを聞いてニンマリする私。
「でしょう? 薔薇じゃあお腹は膨れないわ」
「お嬢さまはとても現実的でいらっしゃいますね。でも、庭に畑なんて旦那さまにバレたら大変じゃあ?」
 少し不安そうな顔をする彼女に自信を持って言った。
「大丈夫。お父さまは裏庭の方にまで来ないわ。庭に興味はないもの。畑を作って数カ月経ったけど、まだ気付いていないでしょう?」
「確かにそうですね」
 琴さんと目を合わせてクスリと笑う。
 収穫したトマトを持って屋敷に戻ると、琴さんと一緒に朝食の準備をした。
 もうこれは私の日課だ。
 テーブルに朝食を並べていたら、学生服姿の弟の直史がやってきた。
 サラサラの黒髪に鋭角的な顔立ちをしていて、父に似たのか背は高い。小さい頃からテニスをやっているせいか、肌は小麦色で筋肉もほどよくついていて健康的。
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