昭和懐妊娶られ婚【元号旦那様シリーズ昭和編】
「だが指輪はあった。あの子が青山国際通商にいるのはお前が世話をしたからか?」
早合点するのも無理もないが、祖父の質問に少し苛立たしげに答える。
「俺も驚きましたがたまたまです。十五年ぶりに会ったので、指輪をあげた少女だとすぐにわかりませんでしたよ」
「運命の再会ってやつよのう。伊織に聞いた話では保科伯爵のお嬢さんというではないか。逃してはいかんぞ。早く結婚を!」
伊織め、余計なことを。
助手席に座っている彼の頭を睨みつける。
成瀬伊織、三十五歳。彼は俺がじいさんに引き取られてからずっと、俺の世話役であり俺の影のような存在。
祖父の代から青山家に仕えていて、信頼できる部下のひとりだ。
変な期待を持たせぬよう祖父にはっきり宣言した。
「家柄とかは気にしませんが、俺は結婚する気はありませんよ。うちに嫁ぐことがどんなに大変か母を見て知っていますからね」
母は平民でしかも実家は農家ということで、青山家の者に蔑まれていた。
早合点するのも無理もないが、祖父の質問に少し苛立たしげに答える。
「俺も驚きましたがたまたまです。十五年ぶりに会ったので、指輪をあげた少女だとすぐにわかりませんでしたよ」
「運命の再会ってやつよのう。伊織に聞いた話では保科伯爵のお嬢さんというではないか。逃してはいかんぞ。早く結婚を!」
伊織め、余計なことを。
助手席に座っている彼の頭を睨みつける。
成瀬伊織、三十五歳。彼は俺がじいさんに引き取られてからずっと、俺の世話役であり俺の影のような存在。
祖父の代から青山家に仕えていて、信頼できる部下のひとりだ。
変な期待を持たせぬよう祖父にはっきり宣言した。
「家柄とかは気にしませんが、俺は結婚する気はありませんよ。うちに嫁ぐことがどんなに大変か母を見て知っていますからね」
母は平民でしかも実家は農家ということで、青山家の者に蔑まれていた。