昭和懐妊娶られ婚【元号旦那様シリーズ昭和編】
「あ、ありがとうございます。あのう、途中で抜けていいんですか? 鷹政さん目当てにやってきた女性がたくさんいるはずでは?」
「そういうのは面倒なんだ。さあ、行くぞ」
 鷹政さんは口早に答え、私の手を掴んで歩き出す。
「行くぞって、どこへですか? パーティ会場ではないよね?」
 今私はお風呂上がりで浴衣姿。しかも、父の使い古した藍色の浴衣を自分で縫い直して着ている。こんな見すぼらしい格好で行けるわけがない。
 立ち止まって鷹政さんに聞くと、彼は穏やかな目で告げた。
「パーティ会場へは行かない。落ち着いた場所だ」
「でも、私……寝巻きなんです」
 彼が来るとわかっていたら、もっとちゃんとした服を着ていたのに。
 恥ずかしさが込み上げてきて頬を赤くしながら伝えるが、鷹政さんはそんな私をおもしろそうに見てまた歩き出す。
「それでもいいが、着いたら着替えるから」
 彼に手を引かれて階段を降りると、琴さんと伊織さんがいた。
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