不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ

タクシーを降りて、お互いの足が急ぎ、マンション内のエレベーターでさえ待てなくて、内階段へ回る。

ドアを開け、閉まるのさえ待てない私達は、お互いを抱きしめあって、どちらともなく唇を合わせた。

お互いの唇を欲しがって、甘く喰めば、喰みかえすを繰り返して、階段を上がりながら唇を追いかけていく。

共有廊下では、少しばかりの理性で駆け足で渡り、部屋の鍵を開いたと同時に、肩を抱き唇を塞いできた彼と一緒に、開いたドアの中へ。

靴を脱ぎ捨て部屋の奥までなだれる勢いで、ベットに倒れた。

手をついて覆い被さる彼が、乱れている髪を掻き上げ、顔を上げて大きく息を吐く。

「はぁー、限界。あれ、なに?嫉妬なの⁈ひとりじめしたいほど俺が好きなの?」

まだ、どこか余裕が残っている表情で見つめてくるが、こちらはもう、いっぱいいっぱいで、待ちきれないというのに…

頑張るって決めたんだ…ここで頑張らなきゃ

「…好き。嫉妬するぐらい好き。…私だけの聖也さんでいて…」

「…理性取り戻すどころか、逆にこのタイミングで最強の爆弾…サイコー。嫉妬なんて飛ぶぐらい甘やかして愛してやる。もう、手放してやれないからな」

手放さないでと、彼の頭を抱き寄せ唇に口付けたのだった。
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