不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ
勢いだったが、初めて気持ちを伝えたことに後悔はない。

だけど、彼の態度が変わってしまうことが怖くて。

目を覚ましたら、終わりにしようと言われそうで…怖くて目が開けれない。

側に感じる体温は彼のもので、髪を撫でる仕草は、なんら変わらない。

そっと、目を開けると、「おはよう」と爽やかな笑顔をむけてきた。

「…おはようございます」

「お風呂沸かしてある。入ってこいよ」

不安で仕方なかったはずが、変わらない態度に、ホッとするより、がっかりする。

昨夜の情熱的な彼は、どこにもいない。
心のどこかで、甘い期待なんてしていたせいだ…

以前と変わらないだけ、よかったのだと。
そう思うまでにはいかない…けっこう、心は傷ついているらしい。

好きだと伝えなきゃよかった。
気持ちを伝えたばかりに、彼の気持ちもほしくなる。

複雑な心のまま体を起こすと、今までにないくらい腰に痛みが走り、腰に手を当て顔を顰めた。

「いたっ」

それを見て苦笑する聖也さん。

「歩けそうか?」

「…たぶん」

私の髪をくしゃっと撫で、彼のスウェットの上を渡してきたので、それに袖を通し、彼が差し出す手に捕まり、ベットから立ち上がる。
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