不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ
閃きが薄れる前に、今日中に決行したい俺は、門の前でまっていると連絡だけ入れて、待つこと数十分。
既読もつかないスマホの画面を見ていたら、背後から、香恋に呼ばれてホッとした。
一緒に帰ろうと手を繋いだが、周りの目を気にしてる様子。
「いいだろ。俺たち付き合ってるんだし、恋愛禁止とかじゃないんだから、堂々としてろよ」
他の男達への牽制になるんだ。
その為に、ここで待っていたなんて思わないんだろうなと。
「そうですけど…自分はモテてるって自覚ありますよね」
「あるけど、なに?」
「彼女がいるってバレていいんですか?」
俺の邪な心なんて気がつかないで、そんな心配をするなんて…可愛いだろ。
今すぐ、キスしたい。
「いいから、こうして手を繋いでる。香恋は嫌なの?」
「私は、大歓迎です」
「なら、いいんじゃない」
手をぎゅっと握ってくるから、ぎゅっと握り返す。
素直というか、疑うことを知らない。
明日には、俺たちのことが広まるとは思いもしないのだろう。
全て、俺の計画の一部の始まりだと知らず、笑顔を向けてくる。
「帰ろう」
「はい」
ほぼ、半同棲になっている今、一緒に暮らす未来しか見えない。できるなら、結婚まで持っていきたいぐらいだ。