不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ
でもな…
「男避けになるのに」
本音が出ていた。
「私は、聖也さんしか見えてませんよ。ヤキモチを妬いてくれる聖也さんも好きです」
ほんと、香恋は、俺の心を動かす。
小さなことでヤキモチを焼く男なんて、普通なら、面倒だと思うだろうに、そんな俺も好きだと言ってくれる。
そうだよ。
「ヤキモチ妬くほど、好きだ」
頑なに言葉が必要かと思っていたが、こうして言葉を伝えてみるのは、思っているよりいいものだ。
頬をほんのり染めて幸せだというように香恋が微笑む。
この笑顔を見れるなら、これからは、何度だって言葉で伝えよう。
始業のチャイムが鳴り、腕を離した。
香恋の唇の縁が赤くなっていて、やり過ぎたと彼女の唇を撫でたが、治るはずもない。
「悪い。少し、やり過ぎた。メイク直してから戻ってこいよ」
香恋は、目を大きく開き驚いていた。
保管庫から出て廊下を歩く自分は、ここまでするほど独占欲というものが自分にあったのかと驚いて苦笑していた。
キスマークで、男どもを牽制するだけじゃ足りない。一番いい方法があるじゃないかと、閃いた。
終業後、女2人がいそいそと香恋を連れて行ってしまい、声をかけるタイミングを逃してしまった。