不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ
いい顔をする…
俺を好きでたまらないって顔。
そして、物足りないって表情…
離れがたかったはずの俺は満足して、部屋に戻ったのだったが、課長から連絡が入った。
なぜ、今?
明日でいいだろうと思うが、俺も一会社員、休みでもだ。
「はい、お疲れ様です」
『休みに悪いな』
悪いと思うなら、明日にしてくれよ。
『…邪魔したか?』
「なんのことかわかりませんけど、用件はなんですか?」
『怒るなって。いや、これから話す内容は深刻だ。一昨日、課長クラスで飲みがあっただろう』
「こっちは、打ち上げで、酷い目にあいましたけど」
いや、おかげで、香恋との楽しい時間を過ごせたから、いいのかとニンマリと笑みが溢れる。
『中村か⁈』
「まぁ」
『お前には悪いが、製品管理課へ人手不足による教育という名目で、とりあえず3ヶ月行ってもらう』
「決定ですか」
『あぁ、あそこは今、女だらけで、いろいろと問題なんだよ』
「なら、課長が行ったらどうです?」
女だらけなんて、面倒に決まっている。
「俺のこの顔と性格じゃなぁ、パワハラになるだろが。お前のその顔と穏和な態度が一番きくと、上は判断したんだ。詳しくは、明日の会議で話されるが、相当だ。覚悟しておけよ』