不器用な恋〜独占欲が恋だと知ったのは君のせいだ
「…うん。頑張ってみる。だけど、紹介は遠慮するね」
「そう?なら、俺は、頑張る香恋ちゃんと聖也さんに1日でも早くカップルになってほしいし、全力で協力するね…」
「斗真は、なにしでかすか分からないから、絶対、やめてあげて」
「酷いな…聖也さんの考えそうなことわかるのにな…それに、そろそろ、来るころだよ」
「えっ?」
突然、顔を覆う優香。
「あっ、きたきた」
大きく手を振る斗真さんに、誰と振り向くと
主任⁈
今日の私服姿も素敵ですと見惚れるが、なぜ、ここに?
ニコニコして、「俺、偉いでしょ。さっき連絡しておいんだよ」と、言う密告犯がいて、非難の声をあげていた。
「とうまさん」
「香恋、ほんと、ごめん。斗真を躾けに帰るね」
「香恋ちゃん、また、明日。聖也さん、顔、怖いすよ。スマイル…香恋ちゃん、怖がってます」
「…斗真、帰るよ」
先に出て行った優香が戻ってきて、まだ、話足りないような斗真さんを強引に連れて行くと、その空いた席に主任が座った。
「…お疲れ様です」
「…」
無言のまま、不機嫌な表情の主任は初めてで、何か怒らせることをしただろうかと、理由がわからず、悲しくなっていく。