令和最愛授かり婚【元号旦那様シリーズ令和編】
思い切って発信して、スマホを耳に当てた。
機械的な発信音が、二回、三回……。


《もしもし》


六回目で、低い声の応答があった。


「黒須さん」


私はゴクッと唾を飲んでから、硬い声で呼びかける。
電話の向こうで、一瞬彼が息をのんだような気配を感じたけれど。


《ああ……安達さんか。久しぶり》


名乗らなくてもわかってくれて、ほんの少しホッとする。


「突然、すみません。話したいことがあるんです。……お会いできませんか」


感情が乱れないように、意識して声のトーンを落とすと、少しの間、沈黙が過ぎった。
私が黒須類と会ったのは、一カ月半前、あの真夏の夜が最後。
今さら、なんの用があるのか。
当然、そう言われると、身構えたのに。


《いいよ。希望はいつ?》


用件も聞かずにOKしてくれるとは、予想外だった。
本当に多忙な人だとわかっているから、その言葉はありがたい。


「できる限り、早く」


私の返事は、それしかなかった。
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