令和最愛授かり婚【元号旦那様シリーズ令和編】
「手術の予約をしなきゃいけないんです。あと三週のうちに。上半期末だし、私も仕事が詰まっていて、スケジュールを調整しないと……」

「俺は、中絶に同意しない」


淡々と挟まれ、私は言葉をのんだ。


「俺の後継者だ、目出度い。授かったからには、産むのが当然だ」

「は……」


彼がなにを言っているのか、瞬時に理解できなかった。


「目出度い? 当然……?」


無意識に繰り返した次の瞬間、私の頭の中で、なにかがドカンと噴火した。


「む、無責任なこと言わないでよ!」


思わず両手でテーブルを叩き、腰を浮かせてしまった。
テラスでも奥まった席。
周りには空席もあるけど、私の行動はさすがに人目を引いたようで、店内からもチラチラと視線を感じる。
だけど、彼に対する憤りが勝って、気にする余裕もない。


「なにが授かったよ。デキちゃっただけじゃない!」


息を荒らげる私に対し、黒須類は堂々としたものだ。


「人の命に変わりはない。君は、中絶しか考えてなかったのか。無慈悲なもんだ」

「っ……そうよ、人間の命。意味わかって言ってる!? 人ひとりの人生……産んだら、一生の問題になるのよ!」
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