令和最愛授かり婚【元号旦那様シリーズ令和編】
「悪いが、この後の予定、すべてキャンセルしてくれ。喫緊で対処しなければいけない用件ができた」
目線を横に流し、淡々と命令するのを聞いて、口を噤む。
鴨頭――。
電話の相手は、彼の第一秘書の男性だ。
私も、顔と名前だけ知っている。
「リスケが必要なら、君に任せる。それから、こっちにタクシーを回して。店名は……」
彼が淀みなく告げたのは、このカフェの名前。
どうやら、この後をオフにして、迎えを来させるようだけど、話はまだ途中なのに、一方的に終わりにされたら堪らない。
「ちょっと、黒須さんっ」
テーブルに両手をつき、身を乗り出して抗議しようとすると、彼は「じゃ、頼む」と短く言って通話を終えた。
再びこちらに向けられる鋭い瞳。
私は、中途半端な体勢で固まった。
「場所を変えて、話を続けよう。君も来い」
彼はそう言って、テーブルの端に置かれた伝票を手に、立ち上がった。
私の返事を待たずに、腕を掴み上げる。
「え?」
戸惑う間もなく引っぱり上げられ、背の高い彼を見上げる。
黒須類は、無言で私の腕を引いた。
「ちょっ……」
慌てて自由な方の腕をテーブルに伸ばし、封筒を取ってバッグに捻じ込む。
私は、彼に引き摺られるようにして、カフェを出た。
目線を横に流し、淡々と命令するのを聞いて、口を噤む。
鴨頭――。
電話の相手は、彼の第一秘書の男性だ。
私も、顔と名前だけ知っている。
「リスケが必要なら、君に任せる。それから、こっちにタクシーを回して。店名は……」
彼が淀みなく告げたのは、このカフェの名前。
どうやら、この後をオフにして、迎えを来させるようだけど、話はまだ途中なのに、一方的に終わりにされたら堪らない。
「ちょっと、黒須さんっ」
テーブルに両手をつき、身を乗り出して抗議しようとすると、彼は「じゃ、頼む」と短く言って通話を終えた。
再びこちらに向けられる鋭い瞳。
私は、中途半端な体勢で固まった。
「場所を変えて、話を続けよう。君も来い」
彼はそう言って、テーブルの端に置かれた伝票を手に、立ち上がった。
私の返事を待たずに、腕を掴み上げる。
「え?」
戸惑う間もなく引っぱり上げられ、背の高い彼を見上げる。
黒須類は、無言で私の腕を引いた。
「ちょっ……」
慌てて自由な方の腕をテーブルに伸ばし、封筒を取ってバッグに捻じ込む。
私は、彼に引き摺られるようにして、カフェを出た。