令和最愛授かり婚【元号旦那様シリーズ令和編】
都内でも有数の高級住宅街、赤坂でタクシーを降り、天に聳えるような立派なタワーマンションを仰いだ私は、


「ここは……?」


ポカンと口を開けて、無意識に独り言ちた。
声は小さすぎて、届かないと思っていたのに。


「ここの最上階、ワンフロアが、俺の自宅だ」


料金を精算して、後から降り立った黒須類が、しれっと答えてくれた。


「え!?」

「ほら、来い」


ひっくり返った声をあげる私を追い越し、さっさと超ゴージャスなエントランスに入っていく。


「く、黒須さんっ」


私は焦って、先を行く広い背中を追いかけた。


「待って。なんで私が、あなたの家に……」

「人に聞かれていい話でもないだろう。つべこべ言わずに、さっさと来い」


確かに、人の耳を気にしながら続ける会話ではないけど、彼の自宅に入るのにも怯む。
でも、フロア直結の、居住者専用エレベーターに乗せられてしまったら、もう逃げようもない。
一分もかからずに、私は最上階である五十階のフロアに到着してしまった。
黒須類は重厚なドアを開け、足を竦ませる私の背中をトンと押した。


「どうぞ」


ほとんどつんのめるように中に入り、驚くほど長い廊下を奥に誘われる。
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