令和最愛授かり婚【元号旦那様シリーズ令和編】
彼の後を追って、大きく開け放たれたドア口に立った私の視界いっぱいに映ったのは――。


「…………」


広く開放的なリビングに度肝を抜かれて、声も出なかった。
これだけ広いと、何畳分かも何平方メートルかも判断できない。
『体育館みたい』としか、喩えようがない。


「ドア口で呆けてないで、入ってきてくれないか」


黒須類は私にはそれだけ言って、自分は奥のソファに向かっていく。
その一角には、うちの会社の役員応接室並みの調度品が揃っている。
いや、値段でいったら、絶対比べものにならないだろう。


彼は、なんとも高級そうなダークブラウンの皮張りのソファに、勢いよくドスッと腰を下ろした。
確かに、私がここに突っ立ったままでは、話が始まらない。
私は夢遊病者みたいな足取りで、フラフラと歩み寄った。
彼の少し手前で足を止め、所在なく目を泳がせる。


「どうした? 借りてきた猫みたいになって」

「私はあなたと金銭感覚がまったく違う庶民なので、こんな広い住居、落ち着かないんです」

「慣れてもらうしかないな。ここで生活するからには」


黒須類は吐息混じりにそう言って、ソファを軋ませて立ち上がる。
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