魔王様は攻略中! ~ヒロインに抜擢されましたが、戦闘力と恋愛力は別のようです
--聞こえた声に、『彼』は軋む身体に鞭を打って、どうにか僅かに顔を上げた。
まだ子供の悪魔だ。小さな身体に、腰まで届くかという長い髪。豪快なセリフに反して声は幼く、手足も華奢だ。けれども、全身から滲み出る高い魔力量は、間違いなく『彼』よりも上だ。
なんにせよ彼女に助けられた。起き上がることも叶わないまま、『彼』は掠れる声で小さな背中に話しかける。
「……たすかり、ました。あなたは、いのちの」
恩人。そう言おうとした『彼』だったが、その先は続かなかった。
振り返った誰かが、ぺいっと『彼』の頭を蹴りつける。「へぶっ」と短く悲鳴をあげて、『彼』が倒れる。その頭を、相手は躊躇なく踏みつけた。
「して。なんじゃ、おぬし! わらわと同じ、悪魔じゃろう!? なんだ、その体たらくは。放っておくつもりだったのに、あんまり情けないから思わず出てきてしまったわ!」
「や、やめ……見ての通り、死にかけてるのですが……」
「知るか! 人間相手に死にかけるほうが悪いのだ!」
独裁者もびっくりな横暴発言をかまし、ぐりぐりと少女は『彼』を踏みつける。