義理のお兄ちゃんの学園プリンスに愛されちゃってます~たくさんの好きをあなたに~
「生徒会、どうだった」
 梓の部屋、小さなソファ。ふかふかでピンク色をしたそこへ腰かけて渉は言った。帰宅して、制服から私服に着替えた姿である。
「えっと……緊張したかな」
 ローテーブルを挟んだソファの向かいに、デスクに使っている椅子を持ってきて、梓はそこへ座って、渉と向き合うような形になった。
 とりあえず、感想を述べる。渉はマグカップのお茶をひとくち飲んでうなずいた。
「そうだよな。先輩が多いんだから。緊張するよな」
「で、でも、交流は楽しかったよ」
「それなら良かった。やっていけそうか?」
 そのように話は進んでいく。話していくうちに、梓はだんだんそわそわしてきた。
 あのことを聞くべきか。もしくは渉から話してくれるのを待っているべきなのか。
 梓のそのそわそわした気持ちを察したように、渉はマグカップをローテーブルに置いた。梓をじっと見つめてくる。
 その瞳に違う意味でどきっとしてしまったとき。
「今日は悪かった」
 渉が切り出した。向こうから言い出してくれたことに梓はほっとした。
 けれど「そうだね」などとは言えるはずがない。
「ううん、……でも」
 否定したけれど、そのあとなんと繋げていいかわからなくなってしまう。
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