義理のお兄ちゃんの学園プリンスに愛されちゃってます~たくさんの好きをあなたに~
夏休みの生徒会室
 冬から春へ、そして現在、夏。
 夏休みには入ったけれど、梓は週に何日かは学校に通っていた。
 それは八月のお盆直前にある『合同合宿』の準備のためなのだった。
 生徒会の仕事のときに聞いた通り、合同合宿は『合同合宿実行委員会』が運営する。
 けれど、生徒会との連携はやはりあるのだし、委員会や部活を統括する立場だけあって、なにもタッチしないというわけがない。
 合同合宿の日も近付いていたし、生徒会のほうでも連絡や計画のチェック、使うものの手配などに大わらわだった。一年生の梓も駆り出されるくらいに。
 夏の活動はこれでおしまいの予定だったけれど。お盆、そして八月の後半は特に招集もない。
 二学期がはじまったら今度は体育祭の準備をはじめると聞いていたけれど、とりあえず、夏休みの活動は合同合宿まで。
 「夏休みにまですまないね」と、会長は自分のほうがよっぽど忙しいだろうに、梓たち後輩に言ってくれたものだ。
 渉のほうは梓の比ではなく忙しそうだった。
 バスケ部に行くだけではない。もちろん、夏の大会である。
 今年も全国を狙う、と言っていた。渉が一年生のとき、慶隼学園は全国大会で準優勝だったらしい。
 準優勝でも相当立派である。けれどやっぱりほしいのは優勝だろう。嬉しいやら悔しいやらだったよ、と渉は話してくれたものだ。
 そして去年はメンバーの不調で不本意な結果に終わってしまったので、今年こそは、ということらしい。練習にも熱が入っているようだ。
 なので渉は毎日、生徒会かバスケ部のどちらかに学校に行っていた。
 梓は生徒会のある日は、いつものように制服を着て渉と一緒に学校へ行った。
 教室ではなく生徒会室に直行して、作業をする。夏真っ盛りではあるけれど、クーラーが効いているので室内は快適だった。
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