ホオズキの花 〜偽りから始まった恋の行方〜
だんだんと見えてくる真相。その事実に、今にも膝から崩れ落ちそうになっていた。
「卑怯な真似だと思われても、それでも私は正しいことをしたと思ってる。だから、あなたがしたことも許せなかった。」
頭はボーッとし、神谷さんの声も少しずつ遠くなっていく。体が悲鳴を上げていた。
「これを聞いてもまだ、あなたは私に頭を下げられるかしら。」
清々しいほど堂々と、自分は正しいのだと自信を持って言う。一瞬、強い目力と口調に圧倒され、気持ちが後ずさっていきそうになった。
「私は......」
急に声を出すと、すっかり喉は渇き切っていた。
「それでも、頭を下げるかもしれません。」
かすれた声。真っ白になった頭の中で、考えるよりも先にそんな言葉が飛び出していた。
ハッと我に返った時、目が合った神谷さんはとても驚いた顔をしていた。
「あの......。たしかに、考えないと言ったら嘘になります。経営が傾いていなければ。出資の条件が私でなければ。考え出したらキリがないくらい、どうしても思うことはたくさんあります。」
何を弁解しているのか、妙に早口になりながらそう説明する私。何が言いたかったのか。自分でも混乱し、着地点を見失っていた。
しかし、言い終わって落ち着いた時、なぜかふと思ったことがあった。
「だけど、もし私が神谷さんだったら、同じことをしていたと思います。」