巡り行く季節の中心から【連載中】
このままでは、いくら学歴があっても社会に出て通用できないコミュニケーション障害患者として、未来の米澤が苦労することになりかねない。
普通ならそんな他人のこと知ったこっちゃないとそっぽを向くのだろうが、どういうわけかナツはやたら行動を起こしたがる。
こいつの性格なら例えイジメを受けても返り討ちにしそうだから、俺は黙って従うことにしているに他ならない。


「近いうちにあるビッグイベントと言えば中間テストくらいね」
「ビックグイベントと称したくもない余計な行事だな」
「そのあとに体育祭があるけど、それまで待つわけにもいかないし……様子をうかがってはアタックの繰り返しで、体育祭までにはどうにか仲良しこよしになりたいものだわ」


アタックって言い方は、そこはかとなく恋する乙女臭がするな。
シャーペンで机を小突いているナツの横顔を眺めながら、以前から浮上していた疑問を投げかけてみる。
< 29 / 97 >

この作品をシェア

pagetop