腹黒策士が夢見鳥を籠絡するまでの7日間【番外編② 2021.5.19 UP】


 悩みながらも、届け物のために構内を歩いていると、

「あ、もしかして鳥羽先生の娘さん。で、トバ研の事務員をされているんだよね」

と声をかけられた。

 見上げると、恰幅のいい、スーツを着た60近い男性。
 見たことある。いや、絶対に見ている。

 普段は直接かかわりなんて全くないけど……。


「が、学長! はじめまして。トバ研事務員の鳥羽あげはと申します」

 私は思わず言って頭を下げた。


「知っていてくれたんですね」

 学長は穏やかに笑う。
 写真でしか見たことなかったけど、優しそうだ。


「あ、はい」

「うちの姪っ子、須藤先生に迷惑かけてない?」


 そう言われて、思わず、いえ、とつぶやいた。
 姪っ子とは、あの女の子のことだ。

 学食で少し絡まれはしたが……。


「あの子は好き嫌いがはっきりしていてね。扱いも難しい。私もあれを扱うのは無理だしね。ははは」

「そうなんですね」

「でも、昔から、須藤先生だけはあの子に好かれていてね。彼、すごいよね」


と笑う。
 そう言われて、さっきの三枝先生の話となんだか変なつながりを感じた。


 須藤先生がずっと誰かを好きだった。

 それはもしかして、
 もしかして、あの子?

 変な考えがぐるぐる回る。
 学長はまだ何かいろいろ話してくれていたけど、全く耳に入ってこなかった。

「じゃ、また。その時に」

 そう言って、学長は歩いて行った。


 その時? って?
 聞き返したかったけど、次の予定があるのか足早に去ってしまい、もう姿も見えない。

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