腹黒策士が夢見鳥を籠絡するまでの7日間【番外編② 2021.5.19 UP】
須藤先生が連れて行ってくれたのは、15階の鉄板コーナー。
目の前の広い広い鉄板の上では、高そうなお肉がシェフの手によって丁寧に焼かれている。
全面ガラス張りの店内からは、夜景がすごくきれいに見えた。
香ばしい香りが鼻に届くのも最高だ。
私たちはカウンターに腰を下ろした。
シェフが、須藤先生を見て、いつもありがとうございます、と頭を下げたので、私の心は落胆に染まる。
あぁ、そうだよね。
他の女の子も連れてきてるよね。
私が浮かない顔をしていると、シェフが、
「須藤先生、今日はお仕事ではないんですね? 珍しい」
と須藤先生に聞く。
「えぇ、今日はプライベートで。こちら、鳥羽教授の娘さんです」
「あぁ」
シェフはそう言って頭を下げた。「鳥羽教授にもごひいきにしていただいております」
「いえ……こちらこそ、父がお世話になっております」
そう返して、須藤先生に、仕事で? と聞く。
「ほら、ここ、医学部の先生方が良く来る店でね。教授たちとの会食があればここに来ることが多いんだ。普段はなかなか来れないよ、高級店だしね」
「あぁ……」
そういう事情に、ほっとしている自分がいる。「女の子、連れて来てるのかと思った」
「女の子連れてきたのは、あげはがはじめて」
「ほんとに?」
「ほんとだよ。ねぇ」
須藤先生はシェフに問う。
シェフは楽しそうに笑って、
「えぇ。それは私も保証します」
と加えた。