腹黒策士が夢見鳥を籠絡するまでの7日間【番外編② 2021.5.19 UP】
私はバチンと机をたたくと、
「須藤先生! 何考えてんですか!」
と叫んだ。
田中さんの目が揺れる。
「せ、先生……?」
「うん。こう見えて大学で教員やってる。理学部だけど、法律もかじってたよ」
須藤先生はそう言って、田中さんの前にまっすぐ歩いていく。
そして目でちらりと田中さんのカバンを見ると、手を差し出し、
「それ返して?」
と威圧的に言った。「このまま警察に行きたくなければ返しなさい」
「っ……」
「それは大事なお金なの! 田中さんのお母さん、手術できなかったらどうするの!」
私は須藤先生に叫ぶ。
酷い。警察とか、何考えてんの。
私が怒っているというのに、須藤先生は田中さんに続ける。
「そんな手術、ないんだろ。目をみりゃ分かる」
田中さんが唇を噛んで黙り込む。
……何で? なんで言い返さないのよ。
あるでしょ。あるって言って。
私の思いとは反対に、田中さんは口を開かなかった。