腹黒策士が夢見鳥を籠絡するまでの7日間【番外編② 2021.5.19 UP】
ちっ、と小さな舌打ちが聞こえて、思わず顔を上げた。
須藤先生、あなた今までそんなことしたことないですよね⁉
「ごめん、よっぽど嫌な思い出になってんだろうな。くそ、あのドヘタくそ詐欺師。今度会ったら海に沈める」
「ちょ……なんか物騒! 結局なにもなかったんだから。だから、海には沈めないであげて」
「あいつに汚されたとこ、全部綺麗にするから」
「ん? どこか汚れてます? 言ってくださいよ。拭きますから」
私は思わず自分の身体を見まわした。
汚されたって、私、泥でもついてるの?
そんな私をきょとんと見た後、須藤先生は楽しそうにゲラゲラ笑いだす。
「な、なに?」
「それ、取ってる意味が全然違うと思うよ? そんな知識でホテルなんてよく行けたね。まぁ、昔から変なとこで行動力があるもんね」
もう一度、私の手を握る指に力がこもる。
ナニコレ……。どうしよう。
私が黙りこくると、須藤先生は楽しそうに笑った。
あれ? 機嫌、完全に戻った?
私はなんだかいたたまれなくなって、ありがとうございます、というと車を降りた。