腹黒策士が夢見鳥を籠絡するまでの7日間【番外編② 2021.5.19 UP】
「おはようございます」
研究室に入ると、研究室の奥の実験室から、助教の三枝宏之先生が顔を出した。
昨年採用されたこの先生は、28歳で私よりも年上だが、私より研究室での経歴は浅いので、なぜか敬語で話しかけてくる。
でも、研究室の経歴が浅いとはいえ、年上だし、教員なので、私的には敬語はやめてほしいのだけど……。何度言ってもやめてくれないのだ。
「今日は二人で出勤ですか?」
三枝先生は、そんなことを聞いてくる。
振り向くと、須藤先生が立っていた。
「え、えーっと……」
「そうだよ」
返事に困っていると、さらっと肯定するように須藤先生が返事をする。
私は思わず須藤先生を睨んだ。
からかわれるとかと思ったけど、へぇ、とだけいって、三枝先生は実験室に戻っていく。
そういえば、三枝先生は基本的に人間に興味がなかったんだった……。
ほっと息を吐いて、私はまた須藤先生を睨む。
なんでこの先生は、人に誤解を与えるようなことをわざわざ言うのだろう。