狼男  無限自殺 編


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


場面が完全な夕暮れ時に変わった。


再び大通りをパトロールする綾野の後ろに乗りながら、

やがて・・・?
信号を曲がって逸れていく・・?


しばらく片側1車線の道路を走行して、
どこかの施設の中に入っていく。


庭?・・公園・・?


ここにもたくさんの子供達がいて・・

遊具やボール遊びをしていたその無邪気な姿が、一斉に綾野の元へと駆け寄ってきた。


「あやのにいちゃん!のせてのせて~!」
「わたしも~!」「ぼくも~!」


見たところ・・幼稚園生もいれば小学生もいれば・・中学生ぐらいの子供もいる。


「気をつけてね。はい・・よいしょ~。」



予想通りというか期待通りだったのであえて触れてなかったが、

初めて聞く綾野の声は、
“優しさ”に包まれていた。


エンジンを切った白バイの運転席に小さな男の子を抱っこして座らせる。

“キャッキャ!”と喜びに満ちあふれた男の子がハンドルを握ったのを皮切りに、

次から次へと子供達の“白バイ隊員体験”が繰り広げられた。



「おぉ・・綾野さんこんにちは。」


「院長さんこんにちは。」


・・・・ん?

ちびっこ警官が続々と誕生していく中、
施設の中から年配の男性が出てきた。



「いやはや・・いつもすみませんな、こんな所にまで毎度パトロールに来てくれて。」


「みんなの元気そうな姿を見ると、
こっちも元気を貰えますから。」


「いやはや・・それにしても、もうすっかり不審者は見かけなくなりました。

綾野さんのおかげですよ。」


「少しでも心配な事があったら、
いつでも連絡してくださいね。」





年配男性と綾野の会話・・・。

白バイ体験が終わりを告げて、綾野が施設を出る時にチラッと確認したこの場所の名前。


そうか・・・あの子達は、“親がいない”子供達だったのか・・。


年配男性・・孤児院の院長さんとの会話を聞く限り、

以前この辺りで不審者の目撃情報があったから、

子供達が不安に怯えないよう、
綾野が来るようになったのか・・。





「綾野・・。もうすぐ1日が終わるぞ。」


「・・・・・・・・・・・。」


「君が白バイ隊員としてどのように公務に当たっていたか・・

たった1日だけどよく分かった気がする。」


「・・・・・・・・・・・・・。」


「やっぱり君は・・
誰よりも警察官に向いている。」


「・・・・・・・・・・・・・。」


「だからいい加減、返事してくれ。」


「・・・・・・・・・・・・・。」





・・どうすりゃいいんだよ・・!

リンはあの時俺に何を言っていた・・?
俺はどうすれば元の世界に戻れる・・?


いや・・俺だけじゃなくて、
綾野も連れて帰らないと・・!























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