DIYで魔法世界を再建!
第二十八章 1年の年月が過ぎて・・・
「・・・1年・・・か・・・」

「ん? 
 姉さん、どうしたの?」

「この世界に転生して、丁度今日で1年なの。」

「そうなんだ!! じゃあ何かお祝いする?」

「ダメダメっ
 冬の間に消費した食料を挽回しなくちゃ。」

この1年で、林に迷い込んだ人の人数は、ヌエちゃんを入れると数人程度。まだまだ人手は足りない状況だけど、昔に比べるとだいぶ活動範囲が広がった。
食料の幅も増え、少し前まで焼いたキノコした食べなかった時期が懐かしく感じる。畑の開発を進めていくうちに、『主食』になる食物を栽培する事に成功した。
その植物は、元々荒地にあったのだが、魔力を流し込む事で、土壌も種も復活したのだ。ヌエちゃん達の話によると、その植物は多くの国で主食とされていたんだとか。
その植物の名は、『スモビー』
まるで稲や小麦の様に、一房に沢山の実をつける。畑で採れる米の様な植物。でも、味は大豆に似ている。
しかもスモビーは、調理法によって様々な味わいを楽しめるらしい。
試しに火で炙ってみると、香ばしいカリカリとしたアーモンドの様な味に変わった。
生で食べると、しっとりとした枝豆の様だ。
茹でて食べると、更にしっとりしている。炊き立ての白米の様な味わい。
でも大豆や枝豆と違って、スモビーの実は丸く真っ白だった。雛豆を更に小さくさせた様な、そんな見た目。ただ、お腹には結構溜まりそうだ。
スモビーが戦時中にも重宝された食料らしく、その影響で荒地にもまだ種があったんじゃないか・・・という思考に至った。
どうやらスモビーは実を植えるだけでも新たな苗が発芽するらしく、試しに私はスモビーの実を1粒だけ地面に植えてみると、たった数日で発芽したのだ。
スモビーは季節を問わず収穫できるらしく、土地が良ければ味が濃くなり、栄養価も増すそう。そこで私は、スモビーを植える畑を慎重に選んだ。生前、畑をしていた父の祖父から聞いた事があった。
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