DIYで魔法世界を再建!
結局私が気が戻ってきたのは、放課後近くになった頃。その頃には、弟も保健室へ担ぎ込まれていた。互いにベッドの上で色々と話し合ったけど、正直内容はもう思い出せない。
私も弟も、家に帰るのが怖かった。父がお酒を浴びるように飲んでいるのかもしれないし、混乱しすぎて私達に攻撃してくるかもしれない。
島を一旦離れて、親戚の家に行こうとしたけど、それではさすがに、父が可哀想だ。まず一旦家に帰ってから決めようという事になった。
先生が、「家まで車で送ろうか?」と言ってくれたけど、どうもそんな気分にもなれない。とにかく私達に必要なのは、現実を受け止める時間だった。
ひたすら海道を歩いたり、ひたすら自転車を走らせたり、ひたすら夕日を眺めたり。とにかく、今の私達にできる事は、それくらいしかなかった。
ユキ姉さんがいなくなって、改めて自分達の無力さが露呈する。いや、前から自覚はあったよ。でもまさかこんな形で思い知らされるなんて、思ってもいなかった。
そもそも、ユキ姉さんを乗せた船を襲った竜巻。あれをスマホで調べたら、最近頻発している『異常気象』の一種なんだとか。
ただ、それが理解できたところで、「はい、そうですか」と、すんなり納得できるかと思ったけど、そうでもない。
私はユキ姉さんと違って、そんなに頭は良くない。だから竜巻が発生する条件とか、自然災害が起きた時の対処なんて、冷静にできるわけがない。
でも、そんな中でもユキ姉さんは、『他人』を優先した。最期まで『姉さん』らしい生き方をした。哀れに思われるかもしれないけど、私にとっては、『自慢の姉さん』である事に変わりはない。
最期の最期まで自分自身を貫くなんて、なかなかできる事ではない。それくらいユキ姉さんは、誰かを思う力が強かったのだ。

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