DIYで魔法世界を再建!
第四十八章 僅かな望みを賭けて
しかし、いくらベヒモス大国の王族として生まれたからといって、決して幸福なわけではなかったそう。
彼の育児はほぼほぼ地下にいる一族任せ。王族の中で外に出られる権利があるのは、母である女王様だけだったらしい。
何故そこまで冷酷な仕打ちをするのか、それも女王様の抱く『執念』があって故。
いつまでも国の支配者でいたい いつまでも麗しい女王様であり続けたい
そんな子供の様な執着心が、女王様の不安を煽る結果となり、そして導き出された結論は、自分の一族を幽閉する事。
そうすれば、女王様に対する敵対心も、権力への願望も最小限で済む。唯一警戒していたのは、一族が『外』へ出る事。
シーズの姉は、「外の世界に行く」と言い出した後、『処分』されたそうだけど・・・

「これは・・・同情するよ。
 ヌエちゃんでも、さすがにこれは酷いと思うでしょ?」

「・・・うん・・・
 ベヒモス大国の内情は、常に謎に包まれていたけど、その蓋を開けたら・・・
 ・・・成る程、ベヒモス大国の内情が外部に漏れなかったのは、『水際対策』があってこそだ
 ったのね。」

「まぁ、生き残れただけでも奇跡だったよ。母に施した禁忌の魔術によって、僕以外の一族は全
 員ミイラになってしまったからね。それが禁忌を犯した罰だよ。
 おかげで私の体も、だいぶ萎れてしまったけどね。きっと私の寿命もごく僅かだ。」

シーズさんは咳き込みながら、口を押さえていた自らの手を見た。その手の平には、ドロッとした鮮血が・・・
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