DIYで魔法世界を再建!
私とヌエちゃんは、その鮮血を見た時、改めて彼の複雑な心境を察した。短い寿命の中で、強制的に叩き込まれた歪んだ教育に振り回され、全てに絶望してしまった、シーズさんの心境を。
自分自身でどうにかする事も叶わず、ただただ母の言いなりのまま、死を待つばかり。望みを追い求め、何日間・何ヶ月間も荒野を歩き回った彼の心は、とっくの昔に壊れていたのかもしれない。
歪んだ教育と、自らの意思、その板挟みで悩む彼にできる事は、ひたむきに『罰』を願う事。その為ならば、どんなに責め立てられようとも、どんなに酷い仕打ちを受けようとも構わない。
何故なら自分の罪を受け入れた上で、母に従い続けているのだから・・・

「シーズさん・・・

 ・・・その・・・
 ごめんなさい。こんな状況下の中では、貴方も随分辛い思いをしたのは、心の何処かで分かっ
 ていた筈なのに・・・
 ついつい貴方を悪者扱いして・・・争い事の連鎖を再び結んでしまうところだった・・・」

「それに気づけただけでも、ヌエちゃんは十分凄いよ。ヌエちゃんは争い事が起こる前に、自ら
 がそれを静止した。それはどの国の王様でもできなかった、とんでもなく偉い事だよ。」
< 166 / 223 >

この作品をシェア

pagetop