DIYで魔法世界を再建!
『白』は『黒』 『無音』は『悲鳴』
そして、『安心感』は『絶望』

どこまでも続く、深い深い闇の中。その闇の中で沈んでいく私。声も出せない、もがく事しかできない。海水が私の体を圧迫して、苦しみが徐々に私を蝕む。
そして、自然と苦しみが和らいだと思った直後、この真っ新な空間に立っていた。
私は『真実』を思い返した途端、涙が抑えられなくなる。そう、私は闇の中へと消えてしまう。恐らく、海へ沈んだ私は発見されず、そのまま闇の底へと沈んでいく。
それがどれほど虚し事なのか、悲しい事なのか・・・

「おぉ、起きたか」

突然、聞いた事のない声が真後ろから聞こえ、私は慌てて振り返る。そこにいたいのは、『藍色の着物を着た男性』だった。しかし、やっぱり私には、そんな男性と面識なんてない。
むしろこんな綺麗な着物、初めて見た。無地ではあるけど、質が良さそうだ。
男性は、私を見下ろしながら、観察している様な目つきをしている。その目線に違和感を感じた私は、自分から何が起こったのか、声をかけてみた。

「あの・・・貴方は・・・?」

「俺の名は『素戔嗚尊(すさのおのみこと)』
 お前なら、聞いた事くらいあるんじゃないか?」

「っ!!」

名前を聞いた直後はピンとこなかったけど、よくよく思い返してみると、その名前は、家の近くにある『神社』でよく聞いていた。
そう、よくその神社には、漁の安全を祈願する漁師達が、年に数回、お参りに来ていた。
そして、その神社に祀られていたのは、海の神様である・・・
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