DIYで魔法世界を再建!
「嫌!!! お母様達も一緒に!!!」

「ヌエ!!! そんなに大きな声を出したら・・・!!!」

路地裏の向こうから、女の子と大人の叫ぶ声が聞こえた。
声の聞こえた方向に行ってみたが、そこは完全に行き止まり。しかしそこに群がっていたのは、真っ黒なフードを被った大勢の大人。
そしてその大人が取り囲んでいるのは、小さな一人の少女。大人達は女の子を必死に何かを説得しているけど、女の子も女の子で、駄々を捏ね続けている。
こんなに大勢の人間を見るのが久しぶりすぎて、思わず目を擦ってしまう私。ただ私にとって、この大人達の会話は、他人事ではない気がする。
何故なら私は、さっき大人が呼んでいた名前には聞き覚えがある。恐らくあの名前は、女の子の名前だろう。
そう、あの巨大ムカデを倒す直前、神獣さんが呟いていた名前も、『ヌエ』だった筈。
互いの関連性はまだ分からないけど、とりあえず耳を傾け続ける。

「いいですかヌエ。
 私達は、ただ貴女に生きて欲しいのです。決して貴女を嫌いになったわけではないのです。

 『普通の女の子』としての生活を嗜み、そのまま『普通の老婆』として、そのたった一つの命
 を終えてほしいのです。」

「そうだ、ヌエ。
 愛しいお前を、この終わりの見えぬ戦争に巻き込むわけにはいかない。お前の力を『兵力』と
 して見做したくない!!
 それが、我ら『一族』の、最後の望みだ。ヌエ、どうかお父さん達の願いを叶えて欲し
 い!!!」
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