DIYで魔法世界を再建!
第二十四章 『魔術』も使い方次第で
「ユキナ、あの・・・
 今後についてなんだけど・・・」

ヌエちゃんと一緒に生活するようになってから、二週間が経過した頃。互いの傷も全治して、ヌエちゃんは私の仕事をよく手伝ってくれる。
それだけではない、ヌエちゃんもDIYができるようになった。まだ知識が浅いから、そんなに大きな物は作れないけど、おかげで林の整備も効率的に行えそうだ。
石斧を初めて扱った時のヌエちゃんは、足元がおぼつかない老人の様だった。不意に笑ってしまった私とシナノは、暖かくヌエちゃんを見守っていた。
木を切り出すのに1日かかってしまったけど、ちゃんとヌエちゃん専用のベッドは完成する。その時にはヌエちゃんも、目を輝かせながら飛び上がって喜んでいた。
それから私は、ヌエちゃんに道具の作り方をレクチャーした。最初はやっぱり手を怪我したり、出来上がっても形が歪だったりしたけど、機能面に関しては全く問題なく使える。
ヌエちゃんによると、今までずっと魔力が枯渇している場所を歩き回ったから、自分の扱う魔法をいくつか忘れているかもしれないと、冗談混じりで話していた。
でも魔力が満ち足りているこの林なら、問題なく魔術が使えるんじゃないかと、興味本位で私はヌエちゃんに提案した。
でもヌエちゃんはあっさり断ってしまう。せっかくだから一度は見てみたいと思ったけど、ヌエちゃん自身も魔術に関してはもう「関わりたくない」心境が伺えた。
確かに、ヌエちゃんの心境にも同情できる。
ヌエちゃんも、この世界がこれほど荒んでしまった原因を知っていたらしく、それでも国の方針には逆らえない身分という事もあって、国に住んでいた時は、だいぶ沈鬱な毎日だったそう。
生まれた時から貴重な『兵力』としての扱いを受け、朝から晩まで魔術の勉強。まだ善悪の把握が曖昧な時期に、人を魔術攻撃のサンドバックにしていたそう。
それに違和感を感じる事すら許されず、ヌエちゃんは兵士達の目がとにかく怖かったらしい。まるで肉食動物に『餌』として育てられている草食動物の様な気分だった・・・と。
そんなヌエちゃんを、此処から追い出すなんて非道にも程がある。勿論私は、ヌエちゃんもシナノ様も引き入れる前提で考えていた。
教会にある部屋もまだまだ沢山あるし、人手が増す事に越した事はない。せっかく巡り合った、人間同士の仲を、そう簡単に手放せない。ヌエちゃんも同感みたいだ。
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