とらとうま
扉を開けるといつもいるはずの馬矢くんがいない。彼は寝る時以外個室に入らないんじゃないかと思う。たぶん。だって今まで扉を開くとかならずいたし。
首をかしげて辺りを見回す。まぁ見回さなくても居ないってわかるくらいの広さなんだけどさ。
もしかして時間間違った?
朝、だよね。うん。
体内時計はちゃんとそういってる。
この宇宙船には時計が無い。でも困らない。だって解るから。それは馬矢くんも同じはずなのに。
ここに居ないということはやっぱり個室にいるんだろうけど…まぁいっか。ご飯食べよう。奴にだってひとりになりたい時があるんだろうし。
宇宙に出てから常にそうだった私は、なんだ馬矢くんも少しは人間らしいとこあるんじゃんなんてちょと嬉しく思った。
でもそんな風に思えたのは朝食を終えるまでで、ごちそうさま、と手をあわせたあと、ふと。
もし、馬矢くんがこの灰色のドアの向こうで…し、死んでたら
んなバカな。ない、ない無い。
なんて考えだしたら止まらない。
そんな死んでるとかあんまりにも極端なはなしなんだけど、だって本当に生きてるか死んでるかなんてドアを開かないとわからないし、ドアの向こうからはもの音ひとつ、しないし。え、どうしようどうしよう
もし本当に馬矢くんが死んでたら私本当にひとりきりじゃない。こんなところで?そんなのいやだ!
駆け寄って灰色のドアノブを回す。そうだドアを開けばきっと無表情の馬矢くんが、
がちんっ
「え」
なにこれ。