癒やしましょう。この針で!!~トリップしても根性で乗り切ります。

 厳かな雰囲気のまま式は執り行われ、愛来とウィルは晴れて夫婦となった。

 二人は教会から王城までをパレードし、国民からの祝福を受け最後に王城のバルコニーに立っていた。

 皆が今か今かと王太子夫妻を待っていると、バルコニーの窓が開きそこから二人が姿を見せた。国民達は、わっと歓声を上げる。

「ウィル殿下万歳!!聖女様万歳!!」

「おめでとうございます」

 その声に混じって聞こえる声……。

「聖女様世界を救ってくれてありがとう」

「聖女様ありがとう」

 ありがとうの声だった。

 結局のところ世界を救ったのは愛来ではなくギルなのだが、そのことを知る人は少ない。何せギルが、世界を渡れる力があるとわかるまで三週間ちかくかかってしまったため、世界を守った聖女の話が一人歩きしてしまったのだ。すでに訂正できないほど噂が広まってしまったため、このままで良いじゃん。とラドーナが言い、そのままとなった。実際三週間眠りについてしまうほど魔力を魔方陣に吸い取られ、その魔力がなければ異世界の扉は開かれなかったのだからと真実を知る皆はいう。


 それでも皆に祝福されるのは嬉しい。

 愛来がウィルを見上げると嬉しそうにウィルが唇を重ねてきた。すると更に大歓声が沸き上がる。



『愛来良くやった』

『愛来の根性見せてもらったわよ』


 え?


 今のは……。


 ギルがふわふわと青い空に浮いている。

 気のせい?

「愛来どうした?」

「ううん。何でも無い。ウィル大好きよ」

 その言葉にウィルがふっと笑い、口づけてくる。仲睦まじい王太子夫妻の姿に国民達の歓声は何時までも響き渡り続けたのだった。






        fin










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