OLユンファ。闇の左手。
標石
[標の石]

「それはなんなんだい」とあたし。
ひさしぶりに首都郊外で花見をしている。

桜が植えられている。テサン山脈から延びる水路が緑なす緑地区画を陽春に透明に輝くテサン山脈の新鮮な雪解け水で潤していた。首都近郊に集まったひとびとが催す宴席。騒ぐ酔漢の大声や笑い声。桜は五分咲きだ。

「標石ですよ。むかし、オールドルナで、中央政府による三角測量が行われたさいに設置されたとかで」

スグリは丁寧に答えた。

「ふーん」とあたし。気のない風を装う。
これからもっと勉強をしよう、と内心そう思いながら。
< 23 / 67 >

この作品をシェア

pagetop