やわらかな檻
 人のこと、言えないくせに。

 
 黙って俯くと、嫌でも目に入る足飾り。

 細やかで繊細な銀色の細工、歩く度にしゃらりと揺れるそれは三年前の秋、彼が私に贈ったものだ。

 GPS機能付きだということは、それから数日後にすぐ分かった。身を持ってして。


「嫌」
「何故?」


 半ば投げやりな気持ちで襖へと近付くと、足飾りが抗議の音を立てる。

 私は襖に手をかけた。
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