やわらかな檻
 腰に片手を当て、ちっちっち、と呟きながら人差し指を左右に揺らしている。

 少女の髪も一緒になって左右に揺れていた。 


「小夜さん、言い過ぎですよー。それ以上はダメですっ」
「……そうね、ありがとう」


 少女の言う通りだ。危うく、喋り過ぎる所だった。

 微笑みかけて礼を言うと、少女は「ではっ」と姿勢を正し敬礼して、その場を立ち去る。


 後には私と馨が残されていた。
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