やわらかな檻
 投票により全学年から三人ずつ、計九人選ばれる女子生徒が園芸部に協力し格安で花を売り出す。

 ここまでは許容の範囲内、花売りといわゆるミスコンを組み合わせて利益の増加を狙うのは戦法として有りだと思う。

 問題はこっちだ。

 ――期間中、有志の売り子はそれぞれ違う種類の造花を身につけなければならない。

 暗黙の了解を知っているのは学園関係者だけだった。


「この桜並木も変わってないわね。今も一年生が掃除の担当なの?」


 まずは校舎に向かい歩いていると、懐かしそうに桜を仰ぎ見ながら小母さまが言う。
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