離縁するはずが、エリート外科医の溺愛に捕まりました
「達樹、さん……どうしてここに」
「仕事が早く切り上がったから、迎えにきた」
「そうだったんですか」
達樹さんの視線があっ君に向いていて、慌てて説明の言葉を探す。
「あ、幼なじみの、町田篤史くんで、私の兄のような感じなんですけど」
「そうか」
達樹さんは私に短く返事をし、あっ君に向かって余所行きの笑みを浮かべる。
そして「いつも妻がお世話になってます」と挨拶をした。
「みのり、急用だ。行こう」
「え? あ、はい」
達樹さんは「では、失礼」とあっ君に軽く頭を下げ、先にひとり店の出口へとむかって行ってしまう。
突然急用と言われて気持ちが急き、あっ君に「ごめんね、行くね」と席を立ち上がった。
「達樹さんっ」
店の外でやっと達樹さんの背中に追いつき声をかける。
近づいた私を肩越しに見た達樹さんは、どこか強引な力で私の腕を掴み取った。