離縁するはずが、エリート外科医の溺愛に捕まりました
「あの、急用って?」
本来の予定でいけばこれから買い物をして帰って、一緒にハンバーグを作る約束だ。
「ああ、悪いな。急に連れ出したりして」
「いえ、それは別に……」
カフェから程近いパーキングに達樹さんの車は駐車されていて、いつも通り私を助手席へと乗せる。
すぐに駐車場から車を出し、どこかに向かって運転を始めた。
「友達と約束があるとは聞いていたけど、相手が男だとは聞いてないな」
「あ……」
朝見送ったときとは一転してしまった、ふたりの間に流れる重苦しい空気。
どうしたのだろうかと戸惑っていたけれど、そういうことだったのかとやっと気づく。
でも、達樹さんの心配するようなことは何もないし、隠すことも何もない。
「すみません。私にとったら男性という相手ではなくて、本当に兄貴って感じなので、そこを伝えようとは思わずで……嫌な気分にさせてしまったならごめんなさい」
「兄貴、か……。みのりはそう思ってても、向こうはどうだろうな?」
「え……?」
「で、その兄貴とふたりで会ってまで話す話があったんだろ?」
あっ君から出された話の内容は、私たちふたりのその後の進展についてだった。
達樹さんにそれを話すのはこの状況で言い出しにくいことだけど、下手に隠したり嘘をついてこれ以上の誤解を生みたくはない。
正直に話せば、あっ君のことを含めきっとわかってくれるはず。